「美術館で見かけるシャガールの絵は、どうしてあんなに優しくて不思議なんだろう」と感じたことはありませんか。
鮮やかな色彩と、重力を忘れて空を飛ぶ恋人たち。彼の作品には、見る人の心を一瞬で物語の世界へ連れて行く力があります。
この記事の目的は、シャガールが描く独特な世界観の理由を紐解き、アートを身近に楽しむヒントを提示することです。
美術に詳しくない方でも、読み終える頃には彼の絵に込められた「愛」の深さが分かり、作品を見る目が変わるはずです。
色彩豊かなアートに触れて、自分の感性を優しく解きほぐす時間を過ごしてみましょう。
心にゆとりが生まれる、贅沢な体験がここから始まります。
シャガールを「愛の画家」と呼ぶ3つの理由
「愛」という言葉はどこか気恥ずかしいものですが、シャガールの人生を知ると、その重みが違って見えてきます。
彼は単に綺麗な絵を描いたのではありません。愛することの喜びや、大切な人を失う痛みを、誰よりも誠実にキャンバスへぶつけ続けました。
1887年に生まれてから97歳でこの世を去るまで、彼を動かしていたのはたった1つの情熱でした。
まずは、彼がなぜ世界中でこれほどまでに「愛の画家」として親しまれているのか。その理由を紐解きましょう。
1. 妻ベラへのひたむきな愛を描き続けたから
マルク・シャガールにとって、1915年に結婚した妻ベラ・ローゼンフェルトは生涯最大のミューズでした。
彼女は単なるモデルではなく、シャガールの魂を導く光のような存在だったのです。
彼女が亡くなった後も、シャガールは彼女の姿をキャンバスの中に描き続けました。
1人の女性を一生かけて愛し抜くという姿勢が、作品に深い説得力を与えています。
具体的には、ベラへの感謝を伝えるために、毎年の結婚記念日には彼女の肖像を描くことを習慣にしていました。
愛する人の存在が、彼の絵に命を吹き込む最大のエネルギー源だったと言えます。
2. 喜びが溢れて恋人たちが宙に浮いてしまったから
シャガールの絵では、恋人たちが軽やかに空を舞う様子がよく描かれます。
代表作『誕生日』では、男性が空中に浮き上がり、愛する女性にキスをしようとしています。
これは、幸せの絶頂で「足が地につかない」という心の状態をそのまま絵にしたものです。
嬉しい時の高揚感を物理的な浮遊として描く。この自由な発想が、見る人の心まで軽くしてくれます。
つまり、彼は目に見える景色ではなく、心の中で起きている出来事を描こうとしました。
重力を無視したその姿こそが、純粋な喜びを表現するための彼なりの方法でした。
3. 悲しい出来事も色彩の魔法で包み込んだから
彼の人生は、決して平坦ではありませんでした。
2度の世界大戦やユダヤ人としての迫害、そして最愛の妻との死別など、過酷な経験を何度もしています。
しかしシャガールは、その暗い闇さえも鮮やかな色彩で包み込もうとしました。
悲しみを知っているからこそ、愛を描く時の色がより一層輝いて見えるのです。
一方で、作品をよく見ると、群衆の足元に小さな炎が描かれていたり、不安を煽るような色が混ざっていたりします。
影を知り、それでも光を選ぼうとした彼の強さが、色彩の魔法となって私たちに届きます。
なぜシャガールの描く空を飛ぶ恋人たちは幸せそうなのか
シャガールの絵の代名詞といえば、ふわふわと空に浮かぶ男女の姿ですよね。
現実ではあり得ない光景ですが、恋をしている時の「ふわっと浮くような感覚」は、誰しも心当たりがあるはずです。
あの浮遊感には、彼が故郷や愛する人に対して抱いていた、特別な思いが隠されています。
重力のルールを無視してまで彼が伝えたかった、心の自由について掘り下げてみましょう。
幸せすぎて足が地につかない感覚をそのまま絵にした
シャガールの絵の中では、幸せな感情が物理の法則を簡単に超えてしまいます。
恋人と一緒にいる喜びが爆発し、体から重さが消えてしまった瞬間を捉えているのです。
「嬉しい」「楽しい」という目に見えない感情を、空を飛ぶという動きで目に見える形にしました。
感情を形にする。これがシャガールの発明した、もっともロマンチックな表現方法です。
具体的に見てみると、飛んでいる恋人たちの表情は驚くほど穏やかです。
恐怖感は一切なく、まるで水の中を泳ぐように自然に空を舞っています。
重力という現実のルールを愛の力が超えた瞬間
シャガールは「愛の力があれば、何でもできる」と信じていました。
絵の中で空を飛ぶことは、厳しい現実や窮屈な社会からの解放を意味しています。
キャンバスの上では、彼は何者にも縛られない自由な王様でした。
愛する人と手を取り合い、空を舞う姿は、人間の精神が持つ無限の自由を象徴しています。
一方で、この浮遊感は彼が1910年代に滞在したパリでの刺激も影響しています。
新しい芸術の波に触れ、それまでの古い殻を破った開放感が、この独特な作風を生んだのです。
故郷ヴィテプスクの街並みを見下ろす自由な視点
恋人たちが飛んでいる下には、よく彼の故郷であるヴィテプスクの街が描かれています。
今のベラルーシにあるこの小さな街は、彼にとって一生忘れられない心の拠点でした。
空から街を見下ろす視点は、故郷への愛着と、そこから旅立つ自分の姿を重ねているのかもしれません。
地上に縛られず、俯瞰して世界を眺める。そんな軽やかさが作品の魅力になっています。
例えば代表作『街の上で』では、素朴な家々の上を、大きな愛が包み込むように流れています。
自分を育てた場所を大切に想いながら、その上を自由に飛び回る姿は、彼の理想そのものでした。
鮮やかな色彩の詩人が生み出した色の魔法
「色彩の詩人」と称えられるシャガールの絵は、色の組み合わせがとにかく大胆です。
真っ赤な空や、真っ青な馬。一見するとデタラメに見える色の使い方が、なぜこれほどまでに心地よく響くのでしょうか。
色の魔法にかけられたような、シャガール独自の色の選び方とその秘密に迫ります。
特に「シャガール・ブルー」と呼ばれる青色が持つ、特別な意味を知ると鑑賞がもっと楽しくなります。
夢の中を散歩しているような深い青色の使い方
シャガールを語る上で欠かせないのが、深い夜や神秘的な夢を象徴する青色です。
この色は「シャガール・ブルー」と呼ばれ、ステンドグラスのように透明感のある輝きを持っています。
青は彼にとって、静寂や安らぎ、そして無限の可能性を表す特別な色でした。
画面全体を青で満たすことで、日常とは切り離された、幻想的な世界を作り上げています。
具体的には、夜のシーンだけでなく、昼間の風景にもあえて深い青を混ぜることがありました。
これにより、作品全体に「ここではないどこか」を感じさせる不思議な奥行きが生まれます。
補色を組み合わせてお互いの色を引き立てる技法
彼は色が持つ力を知り尽くしていました。
例えば、青の隣に鮮やかなオレンジを置くなど、補色の関係をうまく使って画面を生き生きとさせています。
バラバラな色が喧嘩せず、1つの音楽のように調和しているのがシャガールの凄さです。
色がリズムを刻み、見る人の感情を直接揺さぶります。
次に考えたいのが、この色彩が彼自身の経験から来ているという点です。
彼は「色は愛の一部だ」と考えており、色を置くことは自分の感情を置くことと同じだと語っていました。
ステンドグラスから差し込む光のような透明感
晩年のシャガールは、ステンドグラスの制作に情熱を注ぎました。
ガラス越しに差し込む光は、彼の色彩をより一層、神々しく変えていきました。
絵の具を使って描く時も、彼はステンドグラスのような「光の透過」を意識していたと言われます。
色が光り輝いている。この不思議な明るさが、シャガールの絵を見る時の幸福感に繋がっています。
つまり、彼の絵は光の芸術でもあるのです。
表面に塗られた色を見るだけでなく、その奥から光が漏れてくるような感覚こそが、シャガールの色の正体です。
| 色の種類 | シャガールが込めたイメージ | 具体的なモチーフ |
| シャガール・ブルー | 神秘、夢、夜の静寂、愛 | 夜空、恋人たちの背景 |
| 情熱の赤 | 生きる喜び、強い愛、力 | 花束、服、太陽 |
| 希望の黄色 | 祝福、太陽、神聖な光 | 音楽を奏でる人、鳥 |
幻想的な世界の土台となったユダヤのルーツ
シャガールの絵には、よくヴァイオリンを弾く人やニワトリ、ヤギが登場します。
これらは単なる飾りではありません。彼の血に流れるユダヤの伝統や故郷の記憶と深く結びついています。
幻想的な表現の裏側に隠された、彼のアイデンティティと誇りについて知ってみましょう。
過酷な歴史を生き抜いた彼にとって、絵を描くことは祈りそのものでした。
貧しくも温かかった幼少期の記憶が絵の源泉
シャガールは、現在のベラルーシにあるユダヤ人居住区で9人兄弟の長男として生まれました。
決して裕福ではありませんでしたが、家族との絆や信仰に満ちた生活がありました。
彼は大人になってからも、その幼い頃の記憶を大切に温め、作品に投影し続けました。
自分のルーツを否定せず、むしろ誇りに思う。その一途な思いが絵の温かみになっています。
具体的には、ユダヤ教の教えに基づいた家族の食事風景や祝祭の様子が、何度もモチーフとして登場します。
これらは彼にとって、世界の平和を願うための原風景でした。
ヴァイオリンを弾く人やニワトリに込められた祈り
ユダヤの文化において、ヴァイオリンの音色は人生の喜びや悲しみに寄り添う大切なものでした。
屋根の上でヴァイオリンを弾く男は、不安定な生活の中でも音楽を忘れない人々の象徴です。
ニワトリやヤギは、故郷の村で日常的に接していた親しみ深い動物たちです。
それらを描き込むことで、彼は遠く離れた故郷とずっと繋がっていようとしたのです。
一方で、これらの動物は時に人間の顔を持っていたり、不思議な色で塗られていたりします。
これは、動物と人間を区別せず、すべての命が等しく尊いという彼の思想の現れです。
差別や亡命の苦しみを乗り越えるための精神的支柱
ユダヤ人であるシャガールは、ナチスの台頭によりアメリカへの亡命を余儀なくされました。
自分のアイデンティティが攻撃される中で、彼はあえてユダヤの文化を絵に残そうとしました。
差別や暴力に対し、彼は暴力で返さず、美しい色彩と物語で対抗したのです。
「自分は何者か」を問い続け、それを色に変える。彼の絵には、不屈の精神が宿っています。
つまり、幻想的な世界は逃避ではなく、信念の表明でした。
どんなにひどい目にあっても、自分の根っこにある美しい記憶だけは守り抜くという決意が、絵の力強さになっています。
パリ・オペラ座でマルク・シャガールが見せた情熱
パリのガルニエ宮(オペラ座)を訪れると、天井一面に広がる色彩の渦に目を奪われます。
実は、あの巨大な天井画を描いたのもシャガールです。当時77歳という高齢での挑戦でした。
伝統的な劇場に彼の絵が加わる際には、大きな反対運動も起きました。
その困難をどう乗り越え、劇場全体を音楽と色の祝福で満たしたのか。その物語を紐解きます。
77歳で挑んだ巨大な天井画への情熱と批判
1964年、時の文化大臣アンドレ・マルローの依頼により、シャガールは天井画の制作を始めました。
しかし、「伝統的な劇場にモダンな絵はふさわしくない」と、当時は激しいバッシングを浴びたのです。
そんな中、彼は無報酬でこの仕事を引き受け、自分の情熱をすべて注ぎ込みました。
批判の声に耳を貸さず、ただ最高のものを作ろうとする姿勢が、奇跡の天井画を生みました。
具体的には、1年以上の歳月をかけて、縦240平方メートルもの巨大なキャンバスを完成させました。
彼はこの仕事を「音楽家たちへの花束」だと表現し、心を込めて筆を動かしたのです。
モーツァルトやチャイコフスキーへのオマージュ
天井画には、名作オペラやバレエにちなんだシーンが描かれています。
チャイコフスキーの『白鳥の湖』や、モーツァルトの『魔笛』などが、色の渦となって舞っています。
音楽を視覚化する。シャガールは耳で聴く芸術を、目で見る色彩へと変換しました。
劇場の中心で、音楽家たちへの尊敬の念が光となって降り注ぎます。
次に考えたいのが、この絵が単なる飾りではなく、劇場の音響効果をも高めるようなリズムを持っている点です。
色が踊っているような構図は、実際にオペラやバレエを観ている時の高揚感と見事に一致します。
劇場全体を色彩の渦で包み込む圧倒的な表現
完成した天井画が公開されると、それまでの批判は賞賛へと変わりました。
華やかな彫刻や金箔の装飾と、シャガールの鮮やかな色が、驚くほど見事に調和したからです。
歴史ある空間に、新しい息吹を吹き込む。
「古いもの」と「新しいもの」が共鳴し合う、パリを代表する最高の芸術空間が完成しました。
つまり、シャガールは過去と未来を繋ぐ架け橋となったのです。
彼が描いたのは、時代を超えて愛される音楽への賛辞であり、命の輝きそのものでした。
聖書のメッセージを色彩で伝えるステンドグラス
シャガールは晩年、ガラスという新しい素材を使って「光のアート」を追求しました。
太陽の光を浴びて輝くステンドグラスは、キャンバスに描かれた絵とはまた違う神々しさがあります。
フランスのニースにある美術館では、彼が心血を注いだステンドグラスの連作を堪能できます。
宗教や国境を超えて、見る人の魂を揺さぶる「光のメッセージ」の凄さを解説します。
ニースの美術館で出会える「人間国宝」級の連作
フランス・ニースにある「国立マルク・シャガール聖書のメッセージ美術館」。
ここには、聖書をテーマにした全17点の巨大な連作が展示されています。
シャガール自身が美術館の構想に携わったため、建物と作品が完璧に調和しています。
青いステンドグラスから差し込む光に包まれると、心が洗われるような特別な感覚を味わえます。
具体的には、1973年に開館したこの場所で、彼は「人類の愛のメッセージ」を伝えようとしました。
宗教画でありながら、誰の心にも届く普遍的な美しさがここにあります。
80歳を過ぎてから開花したガラスと光の芸術
シャガールが本格的にステンドグラスに取り組み始めたのは、70代を過ぎてからでした。
新しい技術を学ぶことを厭わず、80代、90代になってもその情熱は衰えませんでした。
ガラス職人と2人3脚で、何度も色を調整して完成させた作品には、執念すら感じられます。
「光を描きたい」という彼の願いが、もっとも純粋な形で結実したのがステンドグラスでした。
一方で、彼はガラスに直接筆で絵を描くという、斬新な手法も取り入れています。
これにより、光の透過だけでなく、絵画のような繊細な表現も両立させました。
国境や宗教を超えて人々の心に語りかける普遍性
聖書というテーマを扱いながら、シャガールの絵には特定の宗教を押し付けるような強引さがありません。
そこにあるのは、人類共通の平和への祈りや、命の尊さです。
誰もが持っている「優しさ」や「愛」を、光の粒にして届けてくれます。
宗教が違っても、国が違っても、美しいと感じる心に壁はないことを証明しています。
つまり、彼のステンドグラスは平和への対話そのものです。
光がすべてを等しく照らすように、彼の色彩は世界中の人々の心に寄り添い続けています。
幻想的な絵をじっくり楽しむための3つのポイント
シャガールの絵は、じっと眺めているだけで面白い発見が次々と見つかります。
「何が描いてあるか」を正しく当てることよりも、自分の心にどんな波紋が広がるかを楽しむのがコツです。
美術館でシャガールの作品の前に立った時。
より深く楽しむための具体的な見方を紹介します。
1. 描かれた動物たちの表情に注目してみる
シャガールの絵に出てくるヤギやニワトリは、どこか人間のような優しい目をしています。
彼らは単なる動物ではなく、画家の気持ちを代弁する登場人物のような存在です。
動物が笑っていたり、時には寂しげな顔をしていたりする。
その表情を読み取るだけで、シャガールがその絵に込めた感情をダイレクトに受け取れます。
具体的には、彼らに問いかけるような気持ちで眺めてみてください。
動物たちの目に映る世界が、どれほど温かいものであるかを感じられるはずです。
2. 現実にはありえない色の組み合わせを面白がる
空が真っ赤だったり、人物の顔が緑色だったりしても、驚かないでください。
シャガールにとっての色は、現実を説明するためのものではなく、心の色を表現するためのものです。
「もし自分の心が今、色になるとしたら何色だろう」と考えてみてください。
画家の心の色と自分の心の色を照らし合わせる遊び。これがシャガール鑑賞の醍醐味です。
次に考えたいのが、その色が持つリズムです。
隣り合う色の響きが、まるでメロディのようにあなたの心に届くのを待ってみましょう。
3. 自分が絵の中の登場人物になったつもりで眺める
シャガールの絵は、見る人を歓迎してくれます。
空を飛んでいる恋人の隣に、自分もふわふわと浮かんでいるところを想像してみてください。
絵の世界に入り込むことで、冷たい理屈ではなく、温かい感覚としてアートを理解できます。
「考える」のをやめて「感じる」ことに集中する。それがシャガールを楽しむ近道です。
具体的には、描かれた街並みを散歩したり、空の魚と追いかけっこをしたりするイメージです。
自分の想像力を自由に広げることで、1枚の絵は無限の物語へと変化します。
日本でマルク・シャガールの本物に会いに行く
わざわざ海外へ行かなくても、日本国内でシャガールの傑作に出会える場所があります。
特に青森県立美術館にある巨大なバレエの背景画は、そのスケールに圧倒されること間違いなしです。
一人でゆっくりとアートの旅に出かけたくなるような、おすすめのスポットをまとめました。
本物の筆跡を間近で見る体験は、一生の思い出になるはずです。
青森県立美術館にある巨大なバレエの背景画
青森県立美術館には、バレエ『アレコ』のために描かれた巨大な背景画全4点のうち、3点が常設展示されています。
縦が約9メートル、横が約15メートルという、言葉を失うほどの大きさです。
この巨大な空間に身を置くだけで、シャガールの色彩に包まれる感覚を味わえます。
アメリカ亡命中に描かれたこの連作には、故郷への思いや情熱がぎっしりと詰め込まれています。
具体的には、かつての三内丸山遺跡に隣接したモダンな建築の中で、この名品は守られています。
作品の前に立つと、まるで自分が舞台の一部になったかのような錯覚さえ覚えます。
メナード美術館など国内に点在する名作リスト
愛知県にあるメナード美術館も、シャガールの優れたコレクションを持っていることで有名です。
他にも国立西洋美術館やアーティゾン美術館などで、彼の作品に出会えます。
全国各地の美術館がシャガールの絵を所蔵しているため、意外と身近なところで見つかるかもしれません。
公式サイトの収蔵品リストをチェックして、自分から会いに行ってみましょう。
一方で、常設展示だけでなく、特定のテーマに絞った企画展も各地で開催されています。
日本は世界でも有数のシャガール人気国であり、名品に触れる機会は非常に多いです。
企画展で見逃さないための最新情報の集め方
シャガールは日本で非常に人気が高いため、定期的に回顧展や企画展が開催されます。
チラシやポスターで見かけた際は、ぜひ迷わず足を運んでみてください。
一人の画家の作品をまとめて見ることで、作風の変化や生涯のドラマをより深く理解できます。
SNSや美術館のメルマガを活用して、シャガールに会えるチャンスを逃さないようにしましょう。
具体的には、お気に入りの美術館の公式アカウントをフォローしておくのが一番の近道です。
また、全国の展示情報をまとめたポータルサイトを週に1度眺めるのも良い習慣になります。
| 美術館名 | 特徴 | 注目すべき作品 |
| 青森県立美術館 | 広大な空間と巨大作品 | バレエ『アレコ』背景画 |
| メナード美術館 | 質の高い個人コレクション | 恋人や花束を描いた油彩画 |
| アーティゾン美術館 | 東京の中心で名品を鑑賞 | 時代ごとの代表的な作品 |
部屋に色彩の詩人、シャガールの風を取り入れる
美術館で感じた感動を、自分の生活の中にも持ち帰ってみませんか。
シャガールの絵は、ポスターやポストカード1枚あるだけで、部屋の空気を優しく変えてくれます。
一人暮らしの部屋でも手軽に楽しめる、アートのある暮らしのヒントを提案します。
自分を元気づけてくれる色彩を、日常の風景に加えてみましょう。
ポストカードを木製のフレームに入れて飾ってみる
お気に入りの作品のポストカードを1枚、100円ショップの木製フレームに入れてみてください。
デスクの上や玄関の棚に置くだけで、そこが小さな美術館に変わります。
毎日目に入る場所に「愛」と「色彩」がある。
それだけで、疲れて帰ってきた時の心が、ふんわりと解きほぐされるのを感じるはずです。
具体的には、その日の気分に合わせてカードを入れ替えるのも楽しい工夫です。
朝の光には明るい黄色を、夜の静寂には深い青のカードを選んでみましょう。
部屋のテーマカラーを1色決めてポスターを選ぶ
シャガールの絵の中から、自分がもっとも惹かれる色を1色探してみましょう。
例えば青が気になったら、青を基調としたポスターを壁に飾ってみるのです。
絵の中の色と、部屋の小物の色を合わせてみるのもお洒落です。
アートを基準に部屋作りをすると、あなたの生活はもっとクリエイティブになります。
次に考えたいのが、フレームの色選びです。
シャガールの幻想的な世界には、シンプルな白や木目のフレームが驚くほどよく馴染みます。
寝る前に画集をパラパラとめくる贅沢な時間
忙しい毎日の終わりに、スマホではなく画集を開いてみてください。
シャガールの幻想的な世界を眺めていると、自然とリラックスした気分になれます。
夢のような絵を見ながら眠りにつく。
そんな習慣が、あなたの無意識を豊かにし、明日への活力を蓄えてくれます。
具体的には、大きなサイズの画集を手元に置くのがおすすめです。
細かい描写までじっくり眺めることで、作品の世界により深く没入することができます。
逆説!愛の画家シャガールに潜む光と影
「愛と色彩」という言葉だけでは、シャガールのすべてを語ることはできません。
彼の人生には、戦争、迫害、そして最愛の妻との死別という、深い闇の時期もありました。
綺麗な色彩の裏側にある、彼の苦悩や怒り、そしてそれを乗り越えようとした執念に触れてみましょう。
影を知ることで、彼の描く光がより一層、尊く感じられるはずです。
迫害や戦争の影が潜む「白い磔刑」に見る悲しみ
1938年に描かれた『白い磔刑』という作品には、ナチスによる暴力を告発する内容が含まれています。
燃やされるシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)や、逃げ惑う人々が描かれているのです。
ただの夢物語ではありません。彼は残酷な現実からも目を背けませんでした。
この暗い時期があったからこそ、彼はより一層「愛」の価値を信じるようになったのです。
具体的には、キリストの姿をユダヤ人の苦難に重ね合わせ、世界に救済を求めた1枚です。
深い青や鮮やかな赤が消え、どこか重苦しい静寂が画面を支配しています。
愛を失う恐怖と戦いながら描き続けた執念
1944年に妻ベラが病気で亡くなった時、シャガールは絶望し、9ヶ月間も筆を置きました。
生きる意味を見失った彼を救ったのも、やはり絵を描くことでした。
失った愛を、キャンバスの中で永遠のものにする。
その必死な願いが、シャガールの絵に魂を吹き込んでいます。
一方で、彼は後に再婚もし、新しい愛を見つけることができました。
しかし、その作品のどこかに常にベラの面影が漂い続けているのは、彼にとって愛が「不滅のもの」だったからです。
綺麗ごとの裏にある剥き出しの生命力と向き合う
シャガールの絵が、ただ明るいだけの絵と違うのは、その底に「祈り」があるからです。
どんなにひどい目にあっても、この世界には愛があり、美しさがある。
彼はそれを証明するために、100年近い人生をかけて筆を動かし続けました。
彼の色彩は、闇を知るからこそ放たれる、生命の強い輝きそのものです。
つまり、彼の絵は癒やしであり、同時に闘いでもありました。
美しさを守り抜くという強烈な意志が、見る人の心に深く突き刺さります。
まとめ:愛を信じ、色で歌い続けたシャガールの心
マルク・シャガールの作品は、時を超えて私たちの心に「愛」の大切さを語りかけてくれます。
彼が遺した幻想的な世界は、日常に疲れた私たちを優しく包み込み、自由な空へと誘ってくれます。
- 最愛の妻ベラを一生のミューズとし、「愛」をテーマに描き続けた。
- 空を飛ぶ恋人たちは、爆発するような幸福感や自由な精神の象徴。
- 「シャガール・ブルー」などの独特な色彩で、夢と現実を繋ぐ魔法をかけた。
- ユダヤの伝統や故郷の記憶が、作品に深い祈りと力強さを与えている。
- 77歳でパリ・オペラ座の天井画を描くなど、晩年まで衰えない情熱を持っていた。
- 日本国内でも青森などで、世界最大級のスケールの作品を鑑賞できる。
- 悲しみや影を知るからこそ、彼の色彩はより一層美しく、尊く輝いている。
まずは、スマホの待ち受け画面をシャガールの作品に変えて、色彩のパワーを毎日感じてみる。
たったそれだけのことで、あなたの見る景色は、いつもより少しだけ優しく変わっていくはずです。

